『レインレイン・ボウ』(加納朋子/集英社)

 7つの短編を収めた短編集。連作的というのだろうか、それぞれつながりはある。『月曜日の水玉模様』(加納朋子集英社文庫)の姉妹編で、『月曜日〜』のヒロインである片桐陶子の高校時代の部活仲間が、それぞれ登場する。加納作品であるからミステリ的なファクターはあるのだけれど、『月曜日〜』や駒子シリーズのようにそれを全面に押し出しているのではなく、彼女たちのそれぞれの日常を巧みに描き出しながら、そこにちょっとスパイスのように加えた、というような形になっています。個性的な大人の女性たち――まさに七人七色。
 さて、ここからは僕が加納朋子オタであることを考慮して読んで頂きたいのですが……今年、加納さんは二冊の小説を出版しました。本作と初の長編となる『コッペリア』(講談社)です。僕はこの二つを比べた時、前者を押します(後者はもちろん、面白いのですが)。『レインレイン・ボウ』は、加納さんの筆力をそのまま作品に映し出すことに成功した作品のように感じます。七つの短編はどれも二十代半ばの女性たちをリアルに表現しています。僕が好きなのは、「スカーレット・ルージュ」、「雨上がりの藍の色」それからラストの「青い空と小鳥」でしょうか。加納さんの純粋な恋愛小説も読んでみたいなぁ。