『てるてるあした』(加納朋子/幻冬舎)

 親の夜逃げのために高校進学を諦めた照代。そんな彼女の元に差出人不明のメールが届き、女の子の幽霊が現れる。これらの謎が解ける時、照代を包む温かな真実が明らかになる。

 ――というわけで、待望の加納朋子さんの新刊です。私は、連載されていた雑誌には一回も目を通していないので、単行本が出るのを楽しみにしていたのです。この『てるてる あした』は同じく幻冬舎から出ている『ささら さや』の姉妹編で、物語の舞台であるとか、主人公以外の登場人物が、『ささら』と同じで、すーっと物語りに入っていけました。本書は加納さんお得意の連作ミステリでは全然無くて(もちろんそういう要素もなくはないのですが)、照代の成長と変化を描いた小説です。この小説だけでも、全く問題ないと思いますが、やはり『ささら さや』を読んでからのほうが楽しめると思います。