『アキハバラ@DEEP』(石田衣良/文藝春秋社)

電脳街の弱小ベンチャーアキハバラ@DEEP」に集まった若者たちが、不眠不休で製作した傑作サーチエンジン「クルーク」。ネットの悪の帝王にすべてを奪われたとき、おたくの誇りにかけたテロが、裏アキハバラを揺るがす。

 これは面白かったです。何かしらの欠点を持つ者たちが、それぞれの長所を活かして、サーチエンジンを作り出す。著者の人間に対する温かい視点を感じずにはいられません。社会不適合者たちが集まり、サーチエンジンを頑張って作り、汗水たらして作り上げたそのサーチエンジンが奪われ……と読みだ出したら止まりませんよ。ドラマ化や映画化したら、間違いなくウケるだろうなー。ただちょっと不満なのが、ラスト。予定調和的過ぎて、なんか無理過ぎるような。とは言うものの買って損なしの1冊でしょう。