『春期限定いちごタルト事件』(米澤穂信/創元推理文庫)

 ――「小市民にとって一番大切なものは……、私有財産保全ってことにしたら?」(190項)
 やっと読み終えました。期待していた米澤さんの新刊。普通に楽しめました。『さよなら妖精』のような青春小説的なのもいいけど、こういう軽いミステリ連作集というのも好きです。主人公の一人称で、その語り手が探偵役というのは古典部シリーズと同じだし、なんとなく雰囲気も似ているところがあります。小鳩くんと小佐内さんの関係や、小佐内さんの過去などが意図的に明かされないところも、また良い。とまぁ、十分面白かったです。ああ、はやく米澤さんの新刊が読みたい。